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夜になると眠くなるのは、暗くなるからではありません。それは私たちの体を構成する細胞が「時計」を持っているからです。このことは海外旅行をした時に、時差ぼけが起こることからも実感できます。地球上の生物は24時間周期の昼夜交代環境のもとで生活しており、この環境に上手く適応し、朝や夜の到来時刻を事前に正確に予測して、それらに備える細胞内のしくみとして生物時計を進化させてきました。この時計に制御されて、睡眠・覚醒や体温、ホルモン分泌などの様々な生理活性が24時間周期のリズム(概日リズム)を刻んでいます。
時計の遺伝子は、藍色細菌(バクテリアも時計を持っています)、アカパンカビ、ショウジョウバエ、マウスなどでクローニングされ、詳細に解析されています。しかしながら、どのようにして時計が発振するのか。どのようにして発振の周期が、正確にほぼ24時間に制御されているのか(藍色細菌の時計は極めて正確で一日に5分と狂いません)。どうしてこの周期が、外界の温度にほとんど影響されないのか。それらに関しては、ほとんど何も分かっていません。
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| 藍色細菌の生物時計のモデルと時計タンパク質の立体構造 |
私たちは、時計を精巧な分子装置(タンパク質複合体)と捉えて、時計の部品である時計タンパク質の形(立体構造)を原子レベルで解明し、その構造に基づいて各タンパク質の機能を原子レベルで明らかにしたいと考えました。この研究には、好熱性生物由来の安定な耐熱性タンパク質が適しています。そこで生育温度が60℃である、別府温泉産の好熱性藍色細菌を材料に選びました。時計タンパク質(図1;KaiAはアクセル、KaiCはATPase[1]、KaiBは不明)を大腸菌で大量生産し、精製してその生化学的・物理化学的性質を調べました(2,3)。また、これまでにKaiA(4,5)やKaiB(6)、時計調節タンパク質Pexの結晶構造(7)とKaiCの立体構造が解明できました。現在、タンパク質複合体である時計装置やその各存在状態の立体構造を決定し、さらに各Kaiタンパク質の機能を特定し、時計装置の働くしくみを原子レベルで解明することを目指しています。
また、生物発光リズムの自動測定装置(8)や解析プログラム(9)を開発し、緑藻クラミドモナス(10,11)やシロイヌナズナ(12)でも時計遺伝子の網羅的クローニングに成功し、分子レベルで時計の解明を進めています。
私たちヒトを含め、この地球上で酸素呼吸をしている生物の細胞には、ミトコンドリアがあります。ミトコンドリアは栄養有機化合物を、代謝分解して生命活動に利用できるエネルギー“ATP”へ変換する細胞呼吸の場として、重要な役割を果たしています。私たちは動物と異なる機能を発揮する高等植物を材料にして、ミトコンドリアDNAの構造と複製、遺伝子の転写・翻訳を解析し、植物細胞の進化についての知見を深め、また、有用な植物を作成する基盤を作ろうと試みています。
古細菌のゲノム学
原核生物界は古細菌と真正細菌からなり、両者の共生で真核 生物が生じたと考えられています。高度好塩性古細菌の光合成 系に注目して、古細菌の特殊性と一般性をゲノム構造から理解す る研究を進めています。
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| F506室にて |
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