論文紹介

第27回論文紹介(2016.6更新)

グループ名
構造生物学研究センター
著者

#Shimin Jiang, #Akihiro Narita, #David Popp, #Umesh Ghoshdastider, Lin Jie Lee, Ramanujam Srinivasan, Mohan K. Balasubramanian, Toshiro Oda, Fujiet Koh, Mårten Larsson, Robert C. Robinson (#: Equally contributing authors)

タイトル(英)
A novel plasmid-segregating actin from Bacillus thuringiensis forms dynamic antiparallel filaments and tubules
タイトル(日)
バチルス・チューリンゲンシスから得られた新しいプラスミド分離アクチンは、動的な反平行線維とチューブを形成する。
発表された専門誌
Proceedings of the National Academy of Sciences
113(9):E1200-5 2016

バチルス・チューリンゲンシスのアクチン様蛋白質(ParM)線維の、電子顕微鏡法による三次元構造決定が行われた。ParM線維は、線維端、または線維バンドル端に結合するParRをアダプタとしてプラスミドと結合し、ParM線維の伸長によって、分裂時にプラスミドを娘細胞に分配する役割を担っている。真核生物ではアクチンは二本のストランド(プロトフィラメント)からなる線維を形成し、チューブリンはアクチンと同じようなプロトフィラメント十数本から構成される中空の微小管と呼ばれる構造を形成する。一方、バチルス・チューリンゲンシスのParMは、単体で重合すると二本のプロトフィラメントからなるスーパーコイル構造を持った線維を形成した(図1)。これ自体新しい線維構造だが、線維端に結合するParR存在化でParMを重合すると、このスーパーコイル構造を持った線維が二本組み合わさり、全体として4本のプロトフィラメントからなる中空構造を作った(図2)。線維構造そのものが他のタンパク質の存在の有無でここまで大きく変わる事例はいままで存在しなかった。また、原核生物でプラスミド遺伝子の分配を行うParMが、ParR存在化で、真核生物において同じく遺伝子分配を行う微小管に似た中空線維を作るようになるというのも、細胞骨格の進化を考える上で興味深い結果になったと考えている。

図1:ParM単体で重合したときの線維構造

A:電子顕微鏡像。B, D: 得られた三次元構造。C, E: 三次元構造に単量体結晶構造をフィッティングして得られた分子モデル。

図2:ParR存在化で重合したときのParM線維構造

A:電子顕微鏡像。B, D: 得られた三次元構造。C, E: 三次元構造に単量体結晶構造をフィッティングして得られた分子モデル。図1C, Eの分子モデル(青、緑)がそのままC, Eに含まれており、図1の線維構造が二つ組み合ってこの線維を形成していることがわかる。


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