論文紹介

第26回論文紹介(2016.1更新)

グループ名
生体応答論グループ
著者

李春、久本直毅、松本邦弘

タイトル(英)
Axon Regeneration Is Regulated by Ets–C/EBP Transcription Complexes Generated by Activation of the cAMP/Ca2+ Signaling Pathways.
タイトル(日)

神経軸索再生はcAMP/Ca2+ シグナル経路の活性化により生じるEts-C/EBP転写複合体により制御される

発表された専門誌
PLoS Genetics 11, e1005603 (2015)

神経軸索の再生機構は、無脊椎動物からヒトまで種を越えて保存されている。線虫C. elegansでは、軸索切断により受容体型チロシンキナーゼをコードするsvh-2遺伝子の転写が誘導され、それにより産生されたSVH-2が増殖因子SVH-1からのシグナルを受けて活性化し、下流のJNK MAPキナーゼ(MAPK)経路を活性化することで神経軸索再生を促進する。しかし、軸索切断によるsvh-2の転写誘導がどのようなしくみで起こるのかについては、これまで不明であった。今回、我々はEts型転写因子ETS-4とC/EBP型転写因子CEBP-1が、神経切断後のsvh-2の転写誘導を行う転写因子であることを発見した。ETS-4とCEBP-1は、それぞれcAMP経路とCa2+-p38 MAPK経路の下流で機能している。ETS-4はcAMPにより活性化したプロテインキナーゼAによりリン酸化されることにより、CEBP-1との複合体形成が促進される。さらに、Ca2+とcAMPシグナルの両方が、神経切断後のsvh-2の転写誘導に必要であった。以上の結果より、Ca2+とcAMPシグナルが、svh-2の転写誘導を介して神経軸索再生を制御することが示唆された。

図1:Ca2+- p38 MAPK経路とcAMP経路によるsvh-2の転写誘導を介した神経軸索再生制御


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