論文紹介

第26回論文紹介(2016.1更新)

グループ名
生体応答論グループ
著者

アラム タニムル、丸山 裕生、李 春、ストラヒル パストゥホフ、Paola Nix*、Michael Bastiani*、久本 直毅、松本 邦弘
*ユタ大学

タイトル(英)
Axotomy-induced HIF/serotonin signaling axis promotes axon regeneration in C. elegans.
タイトル(日)
神経切断により誘導されるHIF/セロトニンーシグナル軸がC. elegansの神経軸索再生を促進する
発表された専門誌
Nature Communications In press

神経軸索の再生機構は、無脊椎動物からヒトまで種を越えて保存されている。今回、線虫C. elegansをモデル系とした解析から、神経伝達物質の一種であるセロトニンが神経軸索再生を促進することを見出した。セロトニンの産生は、軸索切断による転写因子HIF-1依存的なセロトニン合成酵素TPH-1の発現誘導により、切断神経の本来の性質に関係なく起こる。産生されたセロトニンは、切断神経自身にあるセロトニン受容体SER-7を介して三量体Gタンパク質GPA-12を活性化する。活性化したGPA-12は、RhoGEFであるRHGF-1を介して低分子量Gタンパク質Rhoを活性化し、これがさらにジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)を抑制することで、ジアシルグリセロール(DAG)量を増大させる。DAGは、JNK MAPK経路を活性化することにより神経軸索再生を促進する。なお、SER-7は上記の経路とは別にcAMP合成経路も活性化しており、それら2つの経路の両方が軸索再生には必要であった。以上のことから、HIF-1によるセロトニンーシグナルが、RhoとcAMPの両方の経路を活性化することで神経軸索再生を促進することが明らかとなった。

図1:HIF-1-セロトニン経路による神経軸索再生制御


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