論文紹介

第26回論文紹介(2016.1更新)

グループ名
細胞制御学グループ
著者

上田-石原 奈津実、山崎真弥、今野幸太郎、中山寿子、(他9名)、橋本浩一、渡辺雅彦、﨑村健司、木下 専

タイトル(英)
A CDC42EP4/septin-based perisynaptic glial scaffold facilitates glutamate clearance.
タイトル(日)
シナプスを包囲するグリア突起内のCDC42EP4-セプチン複合体がグルタミン酸輸送体の足場となり、グルタミン酸クリアランスを促進する
発表された専門誌
Nature Communications 6:10090, 2015

神経伝達物質の迅速な再取り込みは、シナプス伝達の時間分解能の向上、過活動抑制、恒常性維持に必須である。小脳皮質に高密度に存在する興奮性シナプスからグルタミン酸を除去するトランスポーターGLASTは、バーグマングリア細胞(特殊なアストログリア)の突起に大量に集積するが、集積の分子機構や生理的意義は不明であった。本研究では、セプチン・ヘテロオリゴマー、ミオシン-10、機能未知のCDC42EP4などを含む蛋白質複合体がシナプス周囲のグリア突起の膜直下に集積していることを見出した。CDC42EP4欠損マウスでは、1)GLASTがセプチンから解離して2)シナプスから遠ざかり、3)グルタミン酸が残留して神経伝達が過剰となり、4)軽度の運動学習障害を呈し、5)正常個体には無効な低用量のトランスポーター阻害剤に過敏に反応して著しい運動障害を呈した。以上および先行研究から、上記複合体がGLASTをシナプス近傍に集積させる足場ないし拡散障壁としてグルタミン酸クリアランスの効率化に寄与していることがわかった。GLASTは一部の運動失調症、てんかん、統合失調症、緑内障の原因遺伝子であり、統合失調症脳ではCDC42EP4やセプチンの一部に量的異常がみられることから、関連する遺伝子改変マウス系統を疾患モデルとした解析を続けている。本研究は包括脳ネットワークの支援の下に複数施設との共同研究として行った。

図1:グリア細胞によるシナプス間隙からのグルタミン酸の除去とその異常


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