論文紹介

第24回論文紹介(2014.10更新)

グループ名
細胞制御学グループ
著者

渡邊征爾、上田(石原)奈津実、(他7名)、木下 専*、山中宏二* (*共同責任著者)

タイトル(英)
SIRT1 overexpression ameliorates a mouse model of SOD1-linked amyotrophic lateral sclerosis (ALS) via HSF1/HSP70i chaperone system
タイトル(日)
長寿遺伝子産物SIRT1の過剰発現はHSF1/HSP70i分子シャペロン経路を介してヒト変異型SOD1によるALS(筋萎縮性側索硬化症)モデルマウスの病態を改善する
発表された専門誌
Molecular Brain 7:62, 2014

代謝、炎症、細胞死、血管拡張等に関連する重要な酵素や転写因子(p53,FOXO, NFkB, PGC1-α, HSF1, eNOS)等を基質として機能修飾する脱アセチル化酵素SIRT1(いわゆる長寿遺伝子産物「サーチュイン」として知られる)を脳・脊髄で選択的に野生型の3倍程度に高発現するトランスジェニックマウス系統を精神・神経疾患研究リソースとして樹立した。このマウスの寿命や一連の行動様式は野生型と同等であったが、変異型ヒトSOD1遺伝子を異なるコピー数で発現する2系統のALSモデルマウスと交配したところ、低発現(軽症)モデルにおいて、SIRT1の増量によるHSP70iの増加と寿命延長効果がみられた一方、高発現(重症)モデルではHSP70iがピークアウトしており、少なくとも個体レベルでのレスキュー効果はみられなかった。以上および脊髄組織の生化学データから、熱ショック転写因子HSF1の脱アセチル化を介した分子シャペロンHSP70iの発現誘導による不溶性蛋白質のリフォールディングがレスキューの少なくとも一部に寄与することが示唆された。本研究は、ALSに対するレスベラトロール等の低分子化合物によるSIRT1賦活療法の有効性に実験的根拠を与える一方、その限界も示すこととなった。(本研究はJST-CRESTなどの支援の下に本学環境医学研究所山中宏二教授らとの共同研究として行った。)


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