論文紹介

第22回論文紹介(2014.1更新)

グループ名
細胞制御学グループ
著者
上田(石原)奈津実、山門 穂高、森田 崇夫、服部 聡子、高雄 啓三、宮川 剛、高橋 良輔、木下 専
タイトル(英)
Chronic overload of SEPT4, a parkin substrate that aggregates in Parkinson’s disease, causes behavioral alterations but not neurodegeneration in mice
タイトル(日)
parkinによるユビキチン化の基質でありパーキンソン病で凝集体を形成するSEPT4をマウスに慢性過剰発現すると行動変化はみられるものの神経変性は起こらない
発表された専門誌
Molecular Brain 2013, 6:35 doi:10.1186/1756-6606-6-35

常染色体劣性若年性パーキンソン病PARK2において、責任遺伝子PARKINの機能喪失からドーパミン神経細胞死に至る過程には不明な点が多い。病態仮説の1つとして、ユビキチンリガーゼParkinによる分解を免れて蓄積した基質の神経毒性が想定されている。Parkinの基質として知られるセプチンのうちSEPT4はパーキンソン病を特徴づけるLewy小体の副成分として主成分α-シヌクレインと共凝集する。一方、SEPT5をラット黒質にウイルスベクターで過剰発現させるとドーパミン・ニューロンの急速な細胞死を引き起こすが、病態モデルとしての妥当性は不明である。そこで、セプチンの慢性的過剰による影響を検討するため、本研究ではSEPT4を脳全域で発現するトランスジェニックマウスを作製した。このマウスの脳組織、黒質-線条体ドーパミン・ニューロンにおけるα-シヌクレインやドーパミン輸送体などSEPT4関連蛋白質の発現量や可溶性、運動機能などには異常を認めなかった。即ち、SEPT4の慢性的過剰のみでは神経変性を誘発するには不十分であることが(少なくとも他の遺伝/環境因子に問題のないマウスの脳では)示された。一方、系統的行動解析において、ピーク時の自発活動量の減弱と社会的行動の変化を認めた。このことは、パーキンソン病、統合失調症、双極性障害患者の死後脳で共通にみられるセプチンの蓄積を始めとする量的・質的異常が、自発活動レベルの低下など行動レベルの異常の一因となり得ることを示している。


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